多摩川のダム
東京都の上水道と電力供給に貢献
多摩川のダム~多摩川水系には5つのダムがあります。小河内ダム・白丸ダム・村山上ダム・村山下ダム・山口ダムの5つです。このうち、小河内ダムと白丸ダムは多摩川本川に設置したダム、村山上ダムと村山下ダムおよび山口ダムは多摩川から取水した水を内陸部の貯水池に貯留するためのダムです。
多摩川のダム~満々と水をたたえた小河内ダムと奥多摩湖
多摩川水系には、小河内ダム・白丸ダム・村山上ダム・村山下ダム・山口ダムの5つのダムがあります。
このうち、小河内ダムと白丸ダムは多摩川本川に設置したダム、村山上ダムと村山下ダムおよび山口ダムは多摩川から取水した水を内陸部の貯水池に貯留するためのダムです。
ここでは、これら5基のダムについてその概要を紹介します。
多摩川は笠取山を源流とし、山梨県・東京都・神奈川県を流下して東京湾にそそぐ、全長138kmの大河です。
このうち、源流から小河内ダム(奥多摩湖)に流入するまでは、一之瀬川(いちのせがわ)→丹波川(たばがわ)と名前を変え、小河内ダムの放流口から先を一般に「多摩川」と呼んでいます。
したがって、小河内ダムは、多摩川の事実上の出発点ともいえる重要な位置にあるダムなのです。
まずはこの由緒ある小河内ダムからスタートして、「多摩川のダム」を順次、観ていくことにしましょう。
多摩川のダム
多摩川のダム(概要)
多摩川に設置されているダムの概要を以下に示します。上述したように、小河内ダムと白丸ダムは多摩川本川に設置したダム、それ以外の3基のダムは多摩川から取水した水を内陸部の貯水池に貯留するためのダムです。詳しくは後述します。
多摩川のダム(概要)
小河内ダム
堤高:149.0m/重力式コンクリートダム
用途:水道用水・発電/東京都水道局管理
ダム湖名:奥多摩湖(小河内貯水池)
白丸ダム
堤高:30.3m/重力式コンクリートダム
用途:発電/東京都交通局管理
ダム湖名:白丸湖(白丸調整池)
村山上ダム
堤高:24.2m/アースダム
用途:水道用水/東京都水道局管理
ダム湖名:多摩湖(村山上貯水池)
村山下ダム
堤高:34.5m/アースダム
用途:水道用水/東京都水道局管理
ダム湖名:多摩湖(村山下貯水池)
山口ダム
堤高:33.5m/アースダム
用途:水道用水/東京都水道局管理
ダム湖名:狭山湖(山口貯水池)
ダム名 | 堤高 | 形式 | 用途 | ダム湖名 | 管理 |
小河内ダム | 149.0m | 重力式 コンクリートダム | 水道用水・発電 | 奥多摩湖 (小河内貯水池) | 東京都 (水道局) |
白丸ダム | 30.3m | 重力式 コンクリートダム | 発電 | 白丸湖 (白丸調整池) | 東京都 (交通局) |
村山上ダム | 24.2m | アースダム | 水道用水 | 多摩湖 (村山上貯水池) | 東京都 (水道局) |
村山下ダム | 34.5m | アースダム | 水道用水 | 多摩湖 (村山下貯水池) | 東京都 (水道局) |
山口ダム | 33.5m | アースダム | 水道用水 | 狭山湖 (山口貯水池) | 東京都 (水道局) |
多摩川のダム(個別解説):多摩川本川に設置したダム
小河内ダム(おごうちダム)
小河内ダム(画像:wikipedia)
小河内ダムは、東京都水道局が多摩川上流の東京都奥多摩町に建設したダム。水道専用ダムといわれていますが、発電にも利用されています。1936年着工、57年完成。貯水池は奥多摩湖。
奥多摩湖に蓄えられた水は、ダム直下の多摩川第1発電所で発電に使用後、多摩川に放流され、下流の小作取水堰(3.4km下流)と羽村取水堰(3.6km下流)で水道原水として取水されます。
取水された原水は、地下導水路を経て村山貯水池(多摩湖)と山口貯水池(狭山湖)に送水され、そこから東村山浄水場および境浄水場に送られて都民の水道水として各家庭に供給されています。
ちなみに、多摩川第1発電所(東京都交通局管理)の最大出力は1万9千kW。ここで作られた電気は、約6キロメートル下流にある東京電力の変電所へ送られ東電に売電されています。
白丸ダム(しろまるダム)
白丸ダム(画像:ダム便覧)
白丸ダムは、小河内ダム下流の多摩川に築造された東京都交通局管理の発電専用ダムです。ダム左岸の住所は東京都奥多摩町白丸。JR青梅線の白丸駅または鳩ノ巣駅から歩いて行けます。
白丸ダムで堰き止められた水は、同局の多摩川第三発電所およびダム直下の白丸発電所に送水され、合計最大1万7,500kWの電力を水力発電します。発電した電気はすべて東電に売電されています。
どうして東京都交通局が発電用ダムを持っているのか不思議ですが、じつは、1911年(明治44年)に発足した東京市電気局が発電供給事業を行なっていたからです。
1942年(昭和17年)に電気の供給事業は廃止しましたが、翌年に東京都制が施行された時に東京市電気局は東京都交通局に改称され、いまでも発電事業だけを継続して実施しています。
多摩川のダム(個別解説):内陸部に設置したダム
村山上ダム/村山下ダム
村山上ダム(左)、村山下ダム(右)
東大和市の狭山丘陵の渓谷に造られた東京都水道局が管理するダム。貯水池は西側(上流側)の村山上貯水池と東側(下流側)の村山下貯水池に分かれていますが、両者を合わせて「村山貯水池」=通称「多摩湖」と呼ばれています。
村山貯水池は東京都水道局の水源のひとつ。多摩川の水を羽村取水堰で取り入れ、導水管にて村山貯水池に導いて貯水し、東村山浄水場と境浄水場に原水を送水しています。
二つのダムはいずれもアースダムで、周辺の丘陵地とも調和がとれた美しいフォルムを形成しています。とりわけ村山下ダムは、ダム堤体を含めてサイト全体が都立狭山自然公園になっていて、四季を通じて大勢の人々の憩いの場所になっています。
村山下第一取水塔(画像:ダム便覧)
ここの取水塔(村山下第一取水塔)は、日本で一番美しい取水塔だとも言われています。
大正14年の建設で、ネオ・ルネッサンス様式。土木学会の「日本の近代土木遺産~現存する重要な土木構造物2000選 」にも選定されています。
後に類似デザインで第二取水塔が建設されました。
山口ダム(やまぐちダム)
山口ダム(画像:ダム便覧)
村山貯水池に隣接して、東京都水道局が建設した水道専用のアースダム。多摩川の小作取水堰および羽村取水堰から導水した水を主要な水源としていますが、一部金堀沢や大沢などの天然の湧き水も流れ込んでいます。
貯水池の正式名称は山口貯水池ですが、一般には通称名である狭山湖と呼ばれています。
山口貯水池は隣の村山貯水池と連絡管でつながっていて、両貯水池は一体運用されています。貯水した原水は東村山浄水場と境浄水場へと導かれ、東京都の上水道として供給されます。
なお、隣接する村山貯水池がダムも含めて東京都(東大和市)に位置するのに対して、山口貯水池の方はダムともに埼玉県(所沢市および一部入間市)に位置しています。
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