タマゾン川と呼ばれる川
(多摩川~外来種に汚染された川)
タマゾン川~外来魚に汚染された川、多摩川。飼育できなくなった熱帯魚やカメなどの外来種を多摩川に放流するために、いつしか多摩川は外来種の宝庫に。今ではアマゾン川ならぬ「タマゾン川」と呼ばれるようになりました。
外来種の違法投棄や違法放流によって、いまやタマゾン川とも揶揄される多摩川。
(写真はレッドテールキャットフィッシュ)
観賞用やペットとして飼われていた外国産の生き物が、日本の河川に放され、生態系を脅かしています。
とりわけ多摩川は、人口密集地の東京・神奈川を流れる都市河川であることから、違法投棄や違法放流も多く、いまでは200種類を超える外来種が棲み付いているといわれています。
エンゼルフィッシュやグッピーなどのかわいい熱帯魚から、ピラニアやガーパイクなどの獰猛な熱帯魚、さらには肉食系の外来種のカメなど・・・
多種多様な外来生物が棲む川。多摩川。
「まるでアマゾン川のようだ」ということで、誰が名づけたか、今では多摩川のことを「タマゾン川(多摩ゾン川)」と呼んで揶揄するようになりました。困ったものです。
タマゾン川(多摩ゾン川)
外来生物の宝庫~多摩川
違法投棄や違法放流により増える外来種
多摩川に棲む外来種は200種あまり。
中にはレッドテールキャットフィッシュやガーパイクなどの大食感な魚も多く、多摩川の生態系が破壊されると懸念されています。
多摩川は、生活廃水の流入や下水処理水の流入などで水温がほかの河川よりも高い傾向にあり、熱帯魚などが棲息しやすい環境になっています。一部の種は繁殖もしていると見られています。
レッドテールキャットフィッシュ
(画像提供:ルースニングパラダイス)
スポッテッドガーパイク
(画像提供:フェティッシュの火曜日)
国内間移入種も生態系の攪乱要因に!
多摩川の生態系を乱す生物は、外国産の「外来種」だけではありません。
日本産在来魚であっても、もともとその地に住んでいなかった種が新たに移入すれば、そこの生態系に重大な影響を及ぼすことがあり得ます。
多摩川でも、そんな国内移入種がいくつか見つかっています。オヤニラミやアカザ、イトウなどです。
これらの国内間移入種も、多摩川の生態系を撹乱する要因として心配されています。
多摩川に棲む外来種
200種を超える外来種が見つかっています。
多摩川で見つかった主な外来生物を挙げると以下のようです。
- 魚 類
- エンゼルフィッシュ、グッピー、レッドテールキャットフィッシュ、セルフィンプレコ、ノーザンバラムンディ、エンドリケリー、オスカー、ピラニア、スポッテッドガーパイク、レッドオスカー、チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)、アイススポットシクリッド、タイガーオスカー、アリゲーターガーパイク、テラピア、シルバーアロワナ、タイガーショベルノーズキャットフィッシュ、ネオンテトラ、プラティ、コリドラス、プレコ、アロワナ、オオクチバス、コクチバス、ブルーギル、ほか
【国内間移入種】オヤニラミ、ムギツク、アカザ、イトウ、ほか
- 爬虫類
- スッポンモドキ、ミシシッピアカミミガメ、フロリダアカハラガメ、ほか
エンゼルフィッシュ
(画像提供:wikipedia)
ピラニア・ナッテリー
(画像提供:KaRASUの独り言)
外来種が増えた原因
多摩川に外来種が増えた原因は二つ考えられます。
ひとつはブラックバスやブルーギルに見られるように、釣り人たちが、自分たちの趣味のために違法に外来魚を放流したもの。
二つ目は、こちらが最大の原因なのですが、観賞用やペットとして飼っていた熱帯魚や亀などを違法投棄したものです。
大きくなって飼えなくなった、餌代が高い、興味が無くなった、別の品種を買うために以前のものが邪魔になった・・・
理由はいろいろでしょうが、無責任な飼い主が飼育を放棄して、手っ取り早い方法として多摩川に投棄するのです。
もっとも、投棄者本人からすれば、かわいがって育てていたペットですから殺すには忍びない。自然いっぱいの多摩川に『逃がしてやる』といった、優しい気持ちなのかも知れません。
そんな誤った感覚が、川の中では生態系を脅かす大問題を引き起こしているのです。
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多摩川の生態系を守る取り組み
おさかなポスト
飼えなくなった外来魚やカメなどを多摩川に放流させないために、多摩川にほど近い川崎市稲田公園内に、魚やカメの受入れ専用水槽「おさかなポスト」が設置されています。
2005年5月に川崎河川漁業協同組合と環境教育団体「ガサガサ水辺の移動水族館」によって設置されました。観賞魚などが飼えなくなって困っている人は、無償で引き取ってもらえます。
この「おさかなポスト」には、1年間におよそ1万匹の魚やカメが持ち込まれるのだそうです。
最近はポストの知名度も高まり、観賞魚の無差別放流防止と多摩川の生態系保全に大いに役立っています。
カメにエサをあげてください
公園などでよく、「ハトにエサをやらないでください」といった看板を目にしますが、こちらはまったく逆です。「カメにエサをあげてください」(笑)
引き取った魚やカメの餌代もばかになりません。特に、大きくなったカメは引き取り手もいないようで、プール内にたくさん飼育されています。ボランティアでエサ代を負担してくれる方も大歓迎のようです。子供たちに多摩川の話をしながら、一緒に餌やりを楽しむのもいいかも知れません。結構、何でも食べてくれるようです。
観賞魚の里親制度
「おさかなポスト」では、集まった魚を学校などで飼育してもらう「里親」制度を設けています。飼育水槽は原則として学校側で準備してもらいますが、観賞魚は無償で希望のものを配布してもらえます。
また、環境意識が高い個人や企業も里親になることができます。ただし、こちらは「タダだったら貰おう」といった無責任な人や、転売目的の業者などを排除するために、敢えて有料の会員制としています。観賞魚に責任を持って最後まで飼い続けてくれる方が対象です。
「おさかなポストの会」正会員(募集要項)
- ・個人会員 入会金 10,000円 年会費 6,000円(1ヶ月 500円年払い)
- ・法人会員 入会金100,000円 年会費60,000円(1ヶ月5,000円年払い)