多摩川散歩

東京都と神奈川県の境を悠然と流れる多摩川。多摩川の魅力をたっぷり紹介します。

アジサイ(紫陽花)の秘密
(全国に「あじさい寺」が多い訳は?)

アジサイ(紫陽花)の秘密~アジサイは日本原産の花。梅雨の頃に美しい花を咲かせて、各地で「あじさい祭り」が開かれます。日本には全国各地に「あじさい寺」があります。なぜ「あじさい寺」が多いのでしょうか。アジサイの秘密に迫ります。

アジサイ(紫陽花)の秘密/多摩川散歩~あじさい
梅雨の季節には、日本各地でアジサイの花が見ごろを迎えます。

日本人に好まれるあじさいの花
日本人の好きな花ランキング=あじさいは第10位(NHK調べ)

2007年にNHK放送文化研究所が、全国300地点で、16歳以上の国民3,600人を対象に「日本人の好きな花」の調査を行いました。その結果は・・・

好きな花ベスト10は、ランクの高い順に、①桜、②チューリップ、③ばら、④コスモス、⑤ひまわり、⑥梅、⑦らん、⑧すずらん、⑨ゆり、⑩あじさい、でした。(詳細後述)

あじさいも、カーネーションや菊・つつじ・藤・シクラメンなどの人気花卉を押さえて、堂々?のベストテン入りを果たしています。
やはりあじさいは、日本人には人気があるんですね。

ここではそんな、あじさいの魅力を探ります。

アジサイ(紫陽花)の秘密

あじさい~じつは日本が原産地

豪華な手毬状のあじさい「ハイドランジア」(セイヨウアジサイ)

ハイドランジア(和名:アジサイ)は、わが国では最も多く栽培されている、全国どこででも普通に見かけるアジサイです。別名をセイヨウアジサイとも呼ばれます。

じつはこの花=ハイドランジアは、日本原産のガクアジサイをヨーロッパで品種改良したものです。ヨーロッパで人気を博し、やがて日本にも逆輸入されて、わが国の風土にすっかり溶け込んで人気者になりました。 ハイドランジアの花序はほとんどが装飾花で、ふんわりと手まり状(球状)になっていて、見た目も大変に豪華です。花色は青、紫、白、赤、ピンクなど各種あります。

装飾花が多く豪華なあじさい/ハイドランジア

  • 「ハイドランジア」(セイヨウアジサイ)/アジサイ(紫陽花)の秘密~多摩川散歩
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清楚なガクアジサイ~日本原産、アジサイの原点

ガク(萼=がく)アジサイは、花序の周辺だけに装飾花があります。ハイドランジアに比べて豪華さはありませんが、とても清楚で、株全体で見た場合に花と葉のバランスがよく、近年になって急速に人気が高まってきました。

ガクアジサイは日本が原産国で、数多くの「アジサイ」の原点となっているものです。最近ではガクアジサイ自身も品種改良が進み、八重咲きの装飾花をそなえた豪華な品種もでてきて人気に拍車がかかっています。

日本原産のガクアジサイ

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あじさいの七変化

土壌の酸性度によって色を変えるアジサイの花

アジサイは土壌の酸性度によって色を変えるといわれています。酸性であれば青色に、アルカリ性であれば赤色に。リトマス試験紙とは逆の発色ですね。
ただ完全に色が変わるわけではなく、花が本来もっている遺伝的色合いが第一で、土壌の酸性度によって少し影響を受けるというのが真実のようです。

最近の研究で、色が変わるのはアルミニウム・イオンの影響によることが分かっています。すなわち、土壌が酸性だとアルミニウムがイオンの形で溶出しやすく、根から吸収されて色素が青色に変化するのだそうです。
同じ株でも部分によって花の色が違うのは、根から送られてくるアルミニウム・イオンの量に差があるためです。

成長とともに色を変えるアジサイの花

アジサイはまた、開花から日を経るに従って花の色が変化することから、別名を「七変化」とも「八仙花」とも呼ばれます。
最初は含まれる葉緑素のため薄い黄緑色ですが、徐々に色素が生合成され赤や青に色付いていきます。こちらの変化は土壌とは関係なく、色素の経日変化によるものです。

川崎市の妙楽寺にあじさいを観にいったら、ちょうど境内で「句会」をやっていて、こんな短冊があじさいの枝に吊るされていました。

あじさい アジサイ 紫陽花

妖精の夜毎色さす七変化


句の良し悪しはさておき、この句の作者は、あじさいの色が日ごとに刻々と変化するのは「妖精が夜毎出てきて、花びらに色を注しているからだ」と詠んでいます。

きっと、かわいい妖精がいるんでしょうね。
一度でいいから、妖精たちが働いている姿をそっと見てみたいものです。

あじさい アジサイ 紫陽花


アジサイの名所

あじさいは育てやすい花?

日本各地にあじさいの名所はたくさんあります。アジサイは日本が原産国だから日本の気候・風土に馴染みやすく、また半日陰にも比較的強いことから、うっそうとした樹木に覆われた寺院の境内でもきれいな花を咲かせます。あじさいは比較的育てやすい花なのです。

そのため日本各地に「あじさい寺」の愛称で呼ばれる寺院がたくさんあります。また神社や大規模公園でもアジサイがたくさん植えられ、各地で「あじさい祭り」が行なわれています。

日本各地の「あじさい寺」

日本各地の「あじさい寺」の中で、毎年「あじさい祭り」が行なわれているお寺だけをピックアップしました。それだけでもかなりの数にのぼります。

北海道
明善寺(北海道共和町)
東北
資福寺(宮城県仙台市)/良向寺(山形県山形市)/笹野観音堂(山形県米沢市)
関東
妙法寺(山梨県富士川町)/本土寺(千葉県松戸市)/妙法生寺(千葉県大多喜町)/保安寺(埼玉県熊谷市)/能護寺(埼玉県熊谷市)/明月院(神奈川県鎌倉市)/成就院(神奈川県鎌倉市)/妙楽寺(神奈川県川崎市)/浄慶寺(神奈川県川崎市)
中部
弘長寺(長野県松本市)/法船寺(長野県松本市)/深妙寺(長野県伊那市)/高源院(長野県飯山市)/本勝寺(静岡県掛川市)/極楽寺(静岡県森町)/性海寺(愛知県稲沢市)/本光寺(愛知県幸田町)/金剛證寺(三重県伊勢市)/大慈寺(三重県志摩市)
近畿
観音寺(京都府福知山市)/三室戸寺(京都府宇治市)/三千院(京都府京都市)/岩船寺(京都府木津川市)/楊谷寺(京都府長岡京市)/長慶寺(大阪府泉南市)/西林寺(兵庫県西脇市)/頼光寺(兵庫県川西市)/矢田寺(奈良県大和郡山市)/願成寺(和歌山県海南市)
中国
月照寺(島根県松江市)/長法寺(岡山県津山市)/大聖寺(岡山県美作市)/神宮寺(広島県府中市)/阿弥陀寺(山口県防府市)
九州・沖縄
千光寺(福岡県久留米市)

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(参考)日本人の好きな花ランキング

冒頭に述べた「日本人の好きな花」の調査結果です。参考までにオリジナルデータを掲載しておきます。

日本人の好きな花や木のランキング/アジサイ(紫陽花)の秘密 多摩川散歩
出典:図録 日本人の好きな花や木のランキング(NHK 放送文化研究所)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3991.html

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